うつ病の予防のために重要なのは、なんと言っても「休養とストレス軽減」です。
今回はこれをさらに積極的にとらえて、うつ病を寄せ付けない体質になる体調管理法について考えていきます。
「体調管理」というと、皆さんはどのようなことをイメージされるでしょうか。適度な運動をしてよく食べてよく眠るというような身体的なことを想像する方が多いと思いますが、ここでは体調管理に、こころの状態も含めて考えていきますので、今回は「こころの状態」と「からだの状態」の2つについて考えていきましょう。
こころの状態に関する体調管理法としては、「良かった探し」をご紹介します。約30年前のテレビで「世界名作劇場」という子供向けアニメ番組が放送される枠がありまして、そこで1986年に「愛少女ポリアンナ物語」という番組が放送されていたのですが、この番組は、主人公であるポリアンナが亡き父の遺言である「良かった探し」をしながら不幸な状況にあってもその中に小さな幸せを見つけていくことで苦境を乗り越えていくという物語でした。
私たちも、特に何も意識せずに日々暮らしているとストレスがたまることの方が多いかもしれませんが、意識してほんの少しでも「良かった」と思えることを探すようにして、夜、眠る前にそれを思い出して、小さな幸せを感じるようにするとストレスがかなり減らせるようです。
具体的なやり方としては、1日に3つ、自分で「良かった」と思えることを探します。どんな小さなことでもかまいません。他の人にとっては当たり前に感じられることでも結構です。忘れてしまわないように「良かった」を見つけたら素早くメモするようにします。
意識して「良かった」を探すように心がけて1日を過ごして、1日が終わって眠る時に、今日発見した「良かった」の振り返りをします。今日見つけた3つの「良かった」を思い出して、幸せな感じを感じながら眠りにつくようにします。
できれば3つの「良かった」を口に出してみましょう。このような感じで声にしてみると良いかもしれません。「今日、私は「良かった」と感じることを3つ見つけることができた。○○が良かった、△△が良かった、□□が良かった。私は、今、小さな幸せを感じている。私は、小さいけれども確かな幸せを感じながら、眠りにつくことができてとても嬉しい。また明日も「良かった」と感じることを見つけることができるはずだ」
慣れないうちは、セリフを紙に書いても良いので、恥ずかしがらずに実際に声に出してやってみてください。どうしても恥ずかしくてできないという方は、声を出さないで振り返りをするだけでもよいので、やってみてください。
からだの状態に関する体調管理法としては、「積極的休養」をご紹介します。
ほとんどの人は疲れてしまった後で、体を休めて疲れをとろうとすることが多いと思います。このような、疲れてから休むという形の「消極的な休養」と呼ばれる休養方法も、体を休めるという点では大切なのですが、最近では、疲れているからこそ、あえて運動後の身体の疲れている時に、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を行って、全身の血行を良くすることで疲労回復を促すというやり方が注目されています。
具体的には、疲れたからといって、休みの日に遅くまで寝ていて、家でごろごろしているよりも、少し早起きして身支度を整えて近所の散歩でもいいので出かけてみるということを心がけるとよいでしょう。体が疲れたからといって、休みの日に昼過ぎまで寝ていると、今度は睡眠のリズムが崩れてしまって、夜に眠れなくなり、かえって疲れがたまる原因になってしまいます。
科学的には「寝だめ」はできないらしく、8時間以上寝てもかえって体に悪いので、「動いて疲れをとる」ということを意識して、うつ病を寄せ付けないような健康状態を維持するように心がけましょう。